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介護休業給付金とは|配偶者ががんになったときの制度・申請・会社への相談方法

介護休業給付金とは|配偶者ががんになったときの制度・申請・会社への相談方法

配偶者ががんになったとき、知っておきたい「介護休業給付金」

配偶者ががんと診断されると、治療への付き添いや、これまでとは違う生活のペースに対応するため、仕事をどうするかという問題に直面する方は少なくありません。そんなとき、知っておくと選択肢が広がる制度の一つが「介護休業給付金」です。この記事では、支給額や条件、必要書類、そして混同されやすい「介護休暇」との違いまで、一次情報をもとに整理します。

介護休業給付金とは

介護休業給付金は、雇用保険の被保険者が、要介護状態の家族を介護するために「介護休業」を取得した際、休業中の収入の一部を補うために支給される給付金です。配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫のいずれかを介護するために休業する場合に対象となり、配偶者のがん治療への対応も、この対象家族の範囲に含まれます。

支給額はいくらか

支給額は、以下の計算式で算出されます。

支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%

(休業開始時賃金日額は、原則として休業開始前6ヶ月間の賃金〈残業代・通勤手当を含み、賞与を除く〉を180で割った金額)

2026年8月1日以降の基準では、賃金月額の上限は546,600円、下限は96,090円と定められており、1ヶ月(30日換算)あたりの支給上限額は366,222円です。この上限額・下限額は、毎年8月1日に見直されます。

介護休業給付金は、休業「中」に受け取れるお金ではありません。休業が終了した後に申請し、その後に支給される制度です。「休業中の生活費として、その都度振り込まれるもの」というイメージを持っていると、資金繰りの見通しが狂ってしまうことがあるため、注意してください。

支給を受けるための条件

介護休業給付金を受け取るには、いくつかの条件を満たす必要があります。

  • 雇用保険の被保険者であること(正社員だけでなく、パート・契約社員・派遣社員も対象)
  • 介護休業を開始した日より前の2年間に、雇用保険の加入期間(賃金支払基礎日数11日以上、または就業時間数80時間以上ある月)が通算12ヶ月以上あること
  • 有期雇用の場合は、これに加えて、同じ事業主に1年以上雇用されていること、介護休業開始予定日から93日経過後6ヶ月以内に労働契約が満了することが明らかでないこと
  • 対象家族が「常時介護を必要とする状態」にあること
  • 休業後、職場に復帰する意思があること(休業開始当初から退職を予定している場合は対象外)

個人事業主やフリーランスは、雇用保険の被保険者ではないため、そもそも対象外です。ご自身の働き方が対象になるかどうか、まずは雇用保険の加入状況を確認することが第一歩になります。

「常時介護を必要とする状態」とは、具体的にどんな基準か

この基準は、2025年4月1日施行の見直しにより、以下の二本立てで判断されることになっています(厚生労働省雇用環境・均等局の報告書に基づく)。

  • 基準①:歩行・排泄・食事等、12項目のうち、「2」に該当する項目が2つ以上、または「3」に該当する項目が1つ以上あり、その状態が継続すると見込まれる場合
  • 基準②:介護保険の要介護2以上の認定を受けている場合(この場合、項目別の評価を行わなくても、この基準を満たすものとして扱われる)

この二本立ての基準は、しばしば「要介護2以上でなければ対象外」と単純化して伝えられがちですが、これは正確ではありません。要介護2以上の認定があれば項目別の評価を省略できる、というだけであり、要介護2未満(要支援を含む)であっても、12項目の基準を満たしていれば対象になり得ます。認定区分だけで諦めず、実際の状態に照らして確認することが大切です。

必要書類

申請の際に必要な書類は、主に以下の通りです。

  • 介護休業給付金支給申請書(払渡希望金融機関指定届を含む)
  • 被保険者が事業主に提出した「介護休業申出書」
  • 介護対象家族の氏名・続柄・性別・生年月日等が確認できる書類(住民票記載事項証明書等。マイナンバーを届け出ている場合は省略できることもある)
  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書(事業主が作成)

申請は、事業主を経由して、事業所を管轄するハローワークに提出するのが基本の流れです。申請期限は、介護休業終了日の翌日から起算して2ヶ月を経過する日の属する月の末日までとされているため、休業終了後は早めに会社の担当窓口へ相談することをおすすめします。

もらえないケース

条件を満たしていないと判断され、支給されない、あるいは減額されるケースもあります。特に、休業中に会社から賃金が支払われる場合は、以下の3段階で扱いが変わる点に注意が必要です。

休業中に支払われた賃金(休業開始時の賃金月額に対する割合) 給付金の扱い
13%未満 給付67%が全額支給される
13%〜80%未満 80%相当額との差額のみが支給される(減額)
80%以上 給付金は支給されない

この他にも、以下のようなケースでは支給されません。

  • 雇用保険の被保険者期間が足りない
  • 休業開始の当初から退職が決まっている
  • 支給単位期間(1ヶ月ごと)の中で、就業した日数が10日を超えている
  • 個人事業主・フリーランスなど、そもそも雇用保険の被保険者でない

「介護休業」と「介護休暇」、混同しやすい二つの違い

ここで、多くの方が混同しやすいポイントを整理しておきます。似た名前の制度に「介護休暇」がありますが、これは「介護休業」とは別の制度です。(なお、子どもの看病のための休暇は「子の看護休暇」という別の制度であり、配偶者の介護とは対象が異なります。)

介護休業 介護休暇
取得できる日数 対象家族1人につき通算93日、最大3回まで分割 年5日(対象家族が2人以上の場合は年10日)
取得の単位 まとまった期間の休業 1日単位、または時間単位での取得も可能
給与・給付金 雇用保険から給付金(休業開始時賃金日額×67%)が支給される 給付金の制度はなく、有給か無給かは会社の就業規則による

まとまった期間、治療や入院に付き添う必要がある場合は「介護休業」、通院の付き添い等、単発・短時間で済む場合は「介護休暇」というように、状況に応じて使い分けることができます。なお、介護の現場でよく見られる傾向として、通院や治療のたびに短い休みが必要になる場合は「介護休暇」を積み重ねる形で、まとまった入院・療養期間に付き添う場合は「介護休業」を使う、という組み合わせ方が選ばれることもあるようです。ご自身の状況に応じて、どちらをどう組み合わせるか、会社の担当窓口と相談しながら決めていくとよいでしょう。

元経営者だから分かる、会社側の本音

ここまで、制度の内容を中心にお伝えしてきましたが、13年間、事業所を経営してきた立場から、会社側がどんなことを気にしているかについても触れておきます。休業を申し出る際、こうした背景を知っておくと、相談の進め方が変わってくるかもしれません。

  • 最大の懸念は、代替要員の確保です。特に介護業界のように人手不足が慢性化している業種では、一人が抜けることによる現場への影響は小さくありません。休業の申し出自体を渋る、という意味ではなく、「どう穴を埋めるか」を考える時間が必要になる、ということです
  • 賃金月額証明書等、申請にあたって会社側が用意する事務書類は、正直なところ、経営者側にとって大きな負担にはなりません。制度上、粛々と対応すればよいだけの手続きです
  • むしろ気になるのは、休業終了後、本当に復帰してくれるかどうかという点です。介護の状況は先が読みにくいこともあり、経営者としては、その後の見通しが立てにくいことに不安を感じる場面もありました

こうした背景から、経営者としての本音を言えば、相談のタイミングは「状況が分かった段階で、できるだけ早く」に尽きます。代替要員の手配には時間がかかるため、直前の申し出よりも、早めに見通しを共有してもらえる方が、会社側としても対応しやすくなります。

会社への相談方法

これらの制度は、自分から申し出なければ利用が始まりません。配偶者の治療が分かった段階で、できるだけ早めに、人事・総務の担当窓口に相談することをおすすめします。相談の際は、以下の点を伝えると、話がスムーズに進みやすくなります。

  • 介護を必要とする家族が誰か、どのような状態か(詳細な病状まで伝える必要はなく、「治療のため通院・入院の付き添いが必要」といった説明で構いません)
  • まとまった休業を希望するのか、通院日ごとの単発の休みを希望するのか
  • おおよそ、どれくらいの期間にわたって配慮が必要になりそうか

近年は、介護離職を防ぐ取り組みを行う企業も増えています。「迷惑をかけるのでは」とためらわず、まずは相談してみることが、無理のない両立への第一歩になります。

私たちの場合は

私自身は、事業を経営する立場だったため、雇用保険の被保険者ではなく、介護休業給付金の対象外でした。同じように経営者や個人事業主として働いている方は、この制度そのものの対象にならない可能性が高いという点は、あらかじめ知っておいていただければと思います。

治療と仕事の両立にまつわる制度については、以下の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

介護休業給付金は、配偶者ががんになったときにも活用できる、雇用保険からの経済的な支援制度です。支給額の計算方法や必要書類、もらえないケースを事前に知っておくこと、そして混同しやすい「介護休暇」との違いを理解しておくことが、いざという時に落ち着いて行動するための助けになります。まずは、会社の担当窓口に相談することから始めてみてください。

執筆者

神野司(かみの つかさ)

妻のがん闘病を支える中で、大阪市の医療用ウィッグ助成制度を実際に利用。

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