お金の話だけでは、両立できない
以前の記事で、高額療養費制度や傷病手当金といった、治療にかかる費用を抑えるための制度について取り上げました。ただ、実際に闘病生活を支える中で直面するのは、お金の話だけではありません。通院の付き添い、家事、そして自分自身の仕事や生活をどう組み立てるか——こうした日々の実務の積み重ねこそが、治療と暮らしの両立の大部分を占めています。

高額療養費制度・傷病手当金でおさえる、治療費の負担
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今回は、私自身が実際にどう動いてきたかを、できるだけ具体的にお伝えします。
通院の付き添いで、実際にやっていること
通院の頻度は、月に2〜3回程度です。この通院には、毎回すべて付き添っています。付き添いといっても、実際にやることは一つではありません。
- 病院までの送迎
- 待合室での付き添い
- 診察室での医師の説明を、その場でメモに取る
- 会計の手続き
- 体調が優れない日は、車椅子を押しての移動
特に、医師の説明をメモに取ることは、地味に見えて重要な役割だと感じています。診察の場では、本人は不安や緊張もあって、説明の内容を全部覚えていられるとは限りません。付き添う側が落ち着いてメモを取っておくことで、後から「あれ、先生何て言ってたっけ」となる場面を減らせます。
「仕事との両立」ではなく、「専念するという選択」
この記事のテーマは、本来「治療と仕事の両立」というタイトルになるはずでした。ただ、正直にお伝えすると、私自身の場合は少し事情が異なります。私は、妻の病気が分かった時点で、それまで経営していた訪問介護事業所を閉じるという決断をしました。仕事を続けながら通院に付き添う方法を模索したのではなく、看病に専念できる環境そのものに切り替えた、という選択です。
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神野司
両立の方法を工夫するより先に、そもそも両立しなくていい環境をつくる、という選択肢もあります。どちらが正しいということではなく、自分たちの状況に合わせて、選べる選択肢の一つとして知っておいてもらえたらと思います。
これは、私たち夫婦が置かれた状況の中で選んだ一つの選択であり、すべての方に当てはまる正解ではありません。仕事を続けながら通院に付き添う工夫をされている方、時短勤務や在宅勤務で調整されている方など、両立の形は家庭ごとに異なります。ご自身の状況に合った形を探る際の、一つの選択肢としてお読みいただければと思います。
家事の分担について
家事は、現在すべて私が担当しています。これは、私が妻に対し「病気を治すことに専念してほしい」という思いがあったためです。
その中でも、特に気を使っているのは食事づくりです。がんになった理由の一つに食生活があったのではないかと考え、それ以来、食事の内容には意識的に気をつけるようにしています。
これはあくまで私自身の考え方・気の持ちようであり、医学的に食生活とがんの発症との因果関係を断定するものではありません。同じように感じている方もいらっしゃるかもしれない、という一つの実感としてお伝えしています。
一方で、洗濯や買い物といった家事については、正直なところ、それほど苦には感じていません。むしろ、体を動かすことで気持ちが切り替わる面もあります。家事代行サービスや宅配サービスといった外部サービスは、我が家では利用していませんが、負担が大きいと感じる場合は、そうしたサービスに頼ることも十分に選択肢に入ると思います。
まとめ
治療と生活の両立というと、お金の制度面にばかり目が向きがちですが、実際に日々を支えているのは、通院の付き添い、家事、そして仕事や生活そのものをどう組み立てるかという、地道な実務の積み重ねです。
私自身は、事業を閉じて看病に専念するという選択をしましたが、それがすべての方にとっての正解ではありません。大切なのは、ご自身とご家族が置かれた状況の中で、無理のない形を見つけていくことだと思います。この記事が、その形を考える際の一つの参考になれば幸いです。
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- 執筆者
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神野司(かみの つかさ)
妻のがん闘病を支える中で、大阪市の医療用ウィッグ助成制度を実際に利用。
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