抗がん剤治療中、頭皮や肌にはどんな変化が起こりうるか
抗がん剤治療中は、脱毛だけでなく、頭皮や肌そのものにも変化が起こることがあります。使用する薬剤の種類によって症状の出方は異なりますが、あらかじめ「なぜそうなるのか」「なぜこうしたケアが必要なのか」を知っておくことで、いざという時にあわてずに対応できます。
抗がん剤は、がん細胞のように分裂が活発な細胞に作用する仕組みを持っています。皮膚も、体の中で細胞分裂が比較的活発な組織の一つであるため、治療の影響を受けやすく、色素沈着や乾燥、かゆみといったトラブルが起こりやすくなります。
洗髪で気をつけたいこと、そしてその理由
国立がん研究センターの情報によると、脱毛中・脱毛後の頭皮ケアには、いくつかの共通した注意点があります。
- 刺激の少ないマイルドタイプのシャンプーを、少し薄めて使う:治療中の頭皮は敏感になっているため、通常より刺激を弱めることで、負担を軽くする狙いがあります
- シャンプーは手のひらで泡立ててから髪につけ、頭皮に直接かけない:原液や強い水流を頭皮に直接当てると、刺激が強くなりすぎてしまうためです
- 強いブラッシングや、熱すぎるドライヤーを避ける:敏感になった頭皮や、抜けやすくなった毛根への物理的な刺激・熱による刺激を減らすためです
頭皮に痛みやかゆみを感じることもありますが、洗髪自体は頭皮の新陳代謝を促す効果があるとされています。「刺激を避けたいから洗わない」のではなく、「刺激を弱めた洗い方で、清潔を保つ」という考え方が基本になります。
肌のトラブルについて
使用する抗がん剤の種類によっては、色素沈着や、手足がしびれたり皮がむけたりする症状(手足症候群)が起こることもあります。ドキソルビシンやフルオロウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS-1)、カペシタビンといった薬剤は、こうした症状が比較的起こりやすいとされています。ご自身が使用している薬剤について、どのような皮膚症状が起こりやすいか、事前に医師や薬剤師に確認しておくと安心です。
基本的なスキンケアとしては、もともと使っていた洗浄料や保湿剤を、そのまま継続して使って問題ないとされています。特別な製品に変える必要があるという医学的な根拠はなく、使用感の良いものを選び、乾燥が気になる時期は保湿を重視する、という考え方が基本です。あわせて、治療中は肌が紫外線の影響を受けやすくなっているとも言われているため、外出時は日焼け止めや帽子で紫外線対策をしておくことも、あわせて意識しておきたいポイントです。
ウィッグ・帽子の長時間使用による「蒸れ」に注意
ウィッグや帽子を長時間つけ続けていると、頭皮が蒸れて湿疹やかゆみが出ることがあります。これは、通気性が悪くなることで、汗や皮脂が頭皮にとどまりやすくなるためです。自宅にいる時間は帽子やウィッグを外して頭皮を休ませる、通気性の良い素材のアイテムを選ぶ、といった工夫が、こうしたトラブルの予防につながります。
かゆみや湿疹の症状が出た場合は、自己判断で放置せず、主治医や看護師、薬剤師に相談してください。症状に応じて、炎症を抑える塗り薬が処方される場合もあります。
私たちの場合は
ここまでお伝えしてきた内容は、一般的に注意すべきポイントですが、私たち自身について正直にお伝えします。頭皮には、大きなトラブルはありませんでした。一方、肌については、治療中に背中・腰・腕にかゆみが出て、薄い皮が少しですがボロボロと落ちることがありました。
医師に伝えたところ、皮膚の保湿剤(ヘパリン類似物質外用泡状スプレー)が処方され、入浴後に私が患部に塗ることで、症状の改善が見られました。処方される薬は、症状や治療内容によって異なります。同じ薬が誰にでも合うとは限らないため、気になる症状があるときは、自己判断せず医師や薬剤師に相談してください。
肌や爪の変化とセルフケアについては、抗がん剤治療中の肌・爪の変化の記事で、公的情報とあわせて整理しています。
トラブルが起きるかどうか、どんな症状が出るかは、人によって違います。私たちの場合はこうだった、という一例として受け止めていただき、事前に基本的な注意点を知っておくことに意味があると考えています。
脱毛が始まるタイミングについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
脱毛はいつ始まる?生えそろうまでの期間目安についての記事はこちら
まとめ
抗がん剤治療中の頭皮・肌ケアは、刺激を弱めた洗い方、基本的なスキンケアの継続、そしてウィッグ・帽子による蒸れへの対策が基本です。私たちの場合も、頭皮には大きなトラブルがなかった一方で、肌にはかゆみが出ました。事前にこうした知識を持っておくことは、どなたにとっても意味のあることだと思います。気になる症状が出た場合は、一人で抱え込まず、必ず医療者に相談してください。
- 執筆者
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神野司(かみの つかさ)
妻のがん闘病を支える中で、大阪市の医療用ウィッグ助成制度を実際に利用。
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