「ウィッグをかぶると頭がきつい」「小さいウィッグを買ってしまったかもしれない」「締め付けがつらいけれど、どう調整すればいいのか分からない」——この記事は、そんな悩みを抱えている方に向けて書いています。
ウィッグがきついと感じる理由は、ウィッグそのもののサイズだけとは限りません。アジャスターの締め具合、かぶる位置、下に着けているネットやインナーキャップが原因になっていることもあります。
結論:ウィッグがきついときは、まずアジャスター・かぶる位置・インナーキャップなどの下地の3つを確認します。それでも改善しなければ、ウィッグ自体のサイズが合っているかを確認し、購入店への相談や買い直しを検討します。症状ごとに、まず確認したいところは次のとおりです。
| 症状 | まず確認すること |
|---|---|
| 頭全体がきつい | アジャスターの締め具合・頭囲とサイズ表 |
| こめかみだけ痛い | かぶる位置・ウィッグの縁・下地 |
| 耳の後ろが痛い | ウィッグの縁の位置・アジャスターの左右差 |
| ずれる・浮く | サイズ・アジャスターの締めすぎ |
| 下地を外すと楽になる | インナーキャップ・ネットの厚みや重ね着け |
原因から対処、買い直しまでの流れは、次のようにまとめました。
- きつい原因
- 「サイズが頭囲に合っていない」「アジャスターを締めすぎている」「ネットやインナーキャップが厚い」の3つが主な候補
- 自分でできる調整
- アジャスターを1段階ずつ緩める/かぶる位置を確認する/下地を薄いものに替える
- 調整しても改善しない場合
- アジャスターで広げられる範囲には限界がある。自分で切ったり伸ばしたりせず、購入店に相談する
- 買い直すべきケース
- アジャスターを最大まで緩めてもきつく、店での調整も難しい場合。通販なら返品・交換条件も確認する
- 次回のサイズ選び
- 頭囲を測ってサイズ表と照らし合わせ、アジャスターの有無を確認し、可能なら試着する
ウィッグがきついときに見られる症状

「きつい」と一口に言っても、感じ方は人によって違います。頭全体が圧迫される感じなのか、特定の場所だけが痛いのか、それともずれたり浮いたりするのかによって、考えられる原因と対処法が変わります。まずは、ご自身の症状がどれに近いかを確認してみてください。
頭全体が締め付けられる
かぶった直後から頭全体をぐるりと輪で締められているように感じる場合は、ウィッグの内周が頭囲より小さいか、アジャスターを締めすぎている可能性があります。最初は気にならなくても、数時間着けているうちに圧迫感が強くなり、頭が重い・痛いと感じる方もいます。
国立がん研究センター中央病院のアピアランス支援センターは、患者さんから「体調の悪いときはウィッグの締めつけ感がツライ」という声があったことを、帽子型ウィッグを開発したきっかけのひとつとして紹介しています。締め付けは、我慢すれば慣れるものとは限りません。痛みを感じたら一度外して休み、治療中で体調に不安がある場合や痛みが続く場合は、主治医や看護師にも相談してください。
こめかみや耳の後ろが痛い
頭全体ではなく、こめかみや耳の後ろなど一部分だけが痛む場合は、単純なサイズの問題とは限りません。ウィッグの縁(フチ)の位置が耳にかかっている、左右どちらかに偏ってかぶっている、アジャスターの左右の締め具合が違う、といったことで、特定の場所に力が集中していることがあります。
下に着けているインナーキャップの縫い目やゴムが、ウィッグの縁と重なって同じ場所に当たっているケースもあります。このタイプの痛みは、サイズを変えなくても、かぶる位置や下地を見直すだけで和らぐことがあります。
ウィッグがずれる・浮く
「きつい」とは逆に思えますが、ずれる・浮くという症状も、サイズや着け方が合っていないサインです。ウィッグが大きすぎる場合だけでなく、小さいウィッグを無理にかぶっていると、頭の丸みに沿わずに後ろへずり上がったり、頭頂部が浮いたりすることがあります。
ウィッグメーカーのプリシラは、アジャスターを締めすぎると裾を絞ったような状態になり、かえって頭頂部が浮いてしまうことがあると解説しています。ずれるからといってアジャスターを締め続けると、締め付けと浮きが同時に起こることがあるため、締める前に原因を確かめることが大切です。
ウィッグがきつい・小さい原因
ウィッグがきつく感じる原因は、大きく分けて3つあります。「ウィッグ自体のサイズ」「アジャスターの締め具合」「ウィッグの下に着けているもの」です。どれが原因かによって対処法が変わるため、順番に確認していきましょう。
ウィッグのサイズが頭囲に合っていない
購入したウィッグのサイズ自体が、頭囲より小さいケースです。既製品のウィッグはS・M・Lなど決められたサイズ展開の中から選ぶため、測らずに「いつもの帽子の感覚」で選ぶと合わないことがあります。サイズの区切りは店や商品によって異なり、たとえば医療用ウィッグ専門店ワンステップのサイズ表では、Mサイズを頭周り55〜57cmとしています(ワンステップ公式サイト「サイズの測り方」)。
また、抗がん剤治療中の方は、髪の量の変化で頭のサイズ感が変わることがあります。医療用ウィッグを扱うレディススヴェンソンは、脱毛の前後や発毛後には、頭のサイズが約1〜1.5cm変化するといわれると説明しています(販売店による説明で、個人差があります。レディススヴェンソン公式サイト「医療用ウィッグのサイズの測り方」)。脱毛している時期に合わせたウィッグが、髪が伸びてきてからきつく感じるということも起こり得ます。
アジャスターを締めすぎている
ウィッグ自体のサイズは合っていても、後頭部(えり足付近)にあるアジャスターを締めすぎていることで、きつく感じている場合があります。特に「ずれるのが不安だから」と一番きつい位置で留めていると、頭全体を締め付ける原因になります。
アジャスターは左右に1つずつ付いていることが多く、左右の位置がそろっていないと、片側だけが引っ張られて耳の後ろやこめかみが痛くなることもあります。まずは今どの位置で留めているかを、ウィッグを外して確認してみてください。
ウィッグネットやインナーキャップが厚い
ウィッグの下に着けるネットやインナーキャップにも厚みがあります。厚手のものや、2枚重ねで着けていると、その分だけ頭周りが大きくなり、ウィッグが小さく感じることがあります。
自毛がある方の場合、髪をまとめた位置に厚みが集中して、そこだけ押し上げられることもあります。ウィッグ単体で試着したときはちょうどよかったのに、普段の着け方ではきつい、という場合は、下地が原因になっている可能性が高いと考えられます。
ウィッグがきついときに自分でできるサイズ調整

原因の見当がついたら、まずは自分で確認できることから試してみましょう。ここでは、アジャスター、かぶる位置、ウィッグの下に着けるものの3点を順番に確認します。一つずつ試すと、どこに原因があったのかも分かりやすくなります。
アジャスターを1段階ずつ調整する
アジャスターは、ウィッグの内側・後頭部の下あたりに付いているサイズ調整用のパーツです。フックを掛け替えるタイプやベルト状のものなど、形は商品によって異なり、レディススヴェンソンの既製品ではフックの位置で8段階の調整ができると紹介されています。なお、アジャスターが付いていない商品もあります。
きついと感じたら、一気に最大まで緩めず、1段階ずつ緩めて、かぶり直して確認するのがおすすめです。左右にアジャスターがあるタイプは、基本的に左右の位置をそろえて調整し、もみあげ部分が左右対称になっているかを鏡で確認しましょう。アジャスターの構造は商品によって異なるため、取扱説明書や購入店の案内もあわせて確認してください。緩めすぎるとずれやすくなるため、「締め付けを感じず、軽く頭を振ってもずれない位置」を探すイメージです。
ウィッグの位置を確認してかぶり直す
サイズではなく、かぶる位置が原因で締め付けを感じていることもあります。前側を深くかぶりすぎていたり、後ろが上がっていたりすると、ウィッグの縁がこめかみや耳の後ろに当たりやすくなります。
一度外して、前髪の生え際の位置に合わせてから、後ろに向かってかぶせ、最後にえり足を下へ引いて整えてみてください。左右のもみあげ部分の位置がそろっているか、耳にウィッグの縁が乗っていないかも確認します。位置を直しただけで、痛かった場所への当たりが和らぐことがあります。
ウィッグネットやインナーキャップを見直す
下地が原因と考えられる場合は、薄手のものに替える、2枚重ねをやめて1枚にする、といった見直しを試してみてください。インナーキャップの縫い目やゴムの位置がウィッグの縁と重なっているなら、少しずらすだけでも当たり方が変わります。
ただし、治療中で頭皮が敏感になっている方は、インナーキャップが頭皮を守る役割も果たしています。「きついから外す」ではなく、「肌あたりのよい薄手のものに替える」という考え方で選ぶと、締め付けの軽減と頭皮の保護を両立しやすくなります。
アジャスターを調整してもウィッグがきつい場合はどうする?
アジャスターを緩め、かぶる位置と下地を見直しても締め付けが残る場合は、自分で調整できる範囲を超えている可能性があります。自分で調整すれば必ず解決する、というものではありません。ここからは、その場合の考え方を整理します。
ウィッグ自体のサイズが小さい可能性がある
アジャスターは、あくまで「サイズ表の範囲内での微調整」のためのものです。アジャスターを一番緩い位置にしてもきつい場合は、ウィッグ自体のサイズが合っていない可能性があります。
この状態で無理に使い続けると、締め付けがつらいだけでなく、ウィッグが浮いたりずれたりして、見た目に影響することもあります。メジャーで頭囲を測り直し、購入したウィッグのサイズ表と比べてみると、どれくらい差があるのかが分かります。
無理に広げたり加工したりしない
きついからといって、アジャスター部分を切る、ネットを引っ張って伸ばす、縫い目をほどく、といった自己流の加工はおすすめできません。ウィッグの内側(ベース)は形を保つように作られているため、一部を広げるとシルエットが崩れたり、かえってずれやすくなったりする可能性があります。
加工した後は、購入店での調整や返品・交換を受けられなくなることも考えられます。手を加える前に、まずは購入店に相談するのが安全です。
購入店のサイズ調整サービスを確認する
販売店や専門店の中には、購入後のサイズ調整に対応しているところがあります。たとえばレディススヴェンソンは、毛量の増減による頭囲の変化に合わせて、手縫いのサイズ調整に無料で対応すると案内しています。ただし、一部の製品は構造上、手縫いでの調整に対応できない場合があるとしています。
対応の有無、無料か有料か、店頭に行く必要があるのか郵送で受け付けているのかは、店によって異なります。購入時の保証書や購入店のサイトで「サイズ調整」「アフターサービス」の項目を確認し、分からなければ問い合わせてみてください。
ウィッグが小さいときは買い直したほうがいい?
小さいウィッグを買ってしまったとき、すぐに買い直すべきかどうかは状況によって変わります。「調整して使う」「購入店に相談する」「買い直す」のどれを選ぶか、判断材料を整理しておきましょう。
アジャスターで調整できる範囲なら使える可能性がある
アジャスターを緩めることで締め付けがなくなり、ずれも気にならないのであれば、そのまま使える可能性があります。頭囲とサイズ表の差が小さい場合や、締めすぎていただけの場合は、このケースに当てはまる可能性があります。
調整後は、いきなり長時間着けるのではなく、まず家の中でしばらく着けて、締め付けや痛みが出ないかを確かめてから外出に使うと安心です。
締め付けが続くならサイズを見直す
アジャスターを最大まで緩めても締め付けが続く、購入店でも調整が難しいと言われた、という場合は、サイズそのものを見直す選択肢があります。ウィッグは毎日のように長時間着けるものなので、「せっかく買ったから」と我慢して使い続けることが、必ずしもよい選択とは限りません。
買い直す場合は、今回の「どこが、どのくらいきつかったか」をメモしておくと、次のサイズ選びや店での相談に役立ちます。
返品・交換条件も確認する
通販で購入した場合は、まず購入先の返品・交換条件を確認しましょう。消費者庁の特定商取引法ガイドによると、通信販売にはクーリング・オフ制度はなく、返品の可否は販売店が広告に表示する「返品特約」に従います。「返品不可」などの特約が記載されている場合は、原則として契約を解除できません。特約の記載がない場合は、商品を受け取った日から8日間は契約の解除ができますが、返送費用は消費者の負担になります。
ウィッグは肌に直接触れる商品のため、試着後・使用後の返品について条件を定めている店もあります。「サイズ交換は可能か」「一度かぶった後でも対象になるか」「期限は何日か」を、購入時の画面やメール、サイトの規約で確認してください。
参考:消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売で商品を購入したが組み立てられないので返品したい。」
次にウィッグを選ぶときにサイズで失敗しないポイント

今のきつさを解消したら、次に同じ失敗をしないための準備もしておきましょう。サイズ選びで確認したいのは、「頭囲」「サイズ調整機能」「実際のかぶり心地」の3つです。
購入前に頭囲を測る
サイズ選びの基本は、メジャーで頭囲を測ることです。医療用ウィッグ専門店ワンステップでは、前髪の生え際→耳の上→盆の窪(えり足の中央のくぼみ)を通るように、はちまきを巻く要領で一周させ、メジャーがたるまないように測る方法を案内しています。
測った数値は、感覚で「たぶんM」と決めず、購入予定の商品のサイズ表と照らし合わせてください。測り方の指定は店によって異なる場合があるため、購入先の測り方に合わせるのが確実です。治療中の方は、脱毛前に買うなら髪が抜けてゆるくなる時期を、脱毛後に買うなら髪が生えてくる時期を見越しておくことも、レディススヴェンソンは注意点として挙げています。
サイズ調整機能の有無を確認する
購入前に、アジャスターが付いているか、何段階・何cmくらい調整できるかを確認しておきましょう。治療の経過や季節、下地の違いで頭周りのサイズ感は変わることがあるため、後から調整できる余地がある方が安心です。あわせて、購入後に店でサイズ直しをしてもらえるかも確認しておくと、今回のような「きつい」に直面したときの選択肢が増えます。
神野司
可能なら試着して締め付けを確認する
サイズ表の数値が合っていても、頭の形(前後の長さや後頭部の丸み)によってかぶり心地は変わります。可能であれば試着して、かぶった直後だけでなく、しばらく着けたときにこめかみや耳の後ろに当たりがないか、軽く頭を動かしてもずれないかを確認しましょう。
実店舗ならその場でスタッフにサイズやアジャスターの位置を相談できます。通販で買う場合は、試着サービスやサイズ交換の条件があるかを事前に確認しておくと安心です。通販と実店舗それぞれの特徴は、こちらの記事で詳しく比較しています。
医療用ウィッグは通販と店舗どっち?初めての選び方と試着・サイズ確認
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ウィッグがきついときの対処法まとめ
ウィッグがきつい・小さいと感じたときは、次の順番で確認すると原因を切り分けやすくなります。いきなり買い直しを考える前に、一つずつ確かめてみてください。
- まず装着位置を確認する:生え際に合わせてかぶり直し、縁が耳やこめかみに当たっていないか見る
- アジャスターを調整する:1段階ずつ緩め、左右の段数をそろえる
- インナーキャップなども確認する:厚手や重ね着けをやめ、薄手で肌あたりのよいものにする
- 改善しなければ購入店へ相談する:自分で切ったり伸ばしたりせず、サイズ調整サービスの有無を聞く
- サイズそのものが合わなければ買い直しも検討する:通販なら返品・交換条件を確認し、次は頭囲を測ってから選ぶ
締め付けは、毎日ウィッグを着ける人にとって小さくない負担です。我慢して慣れようとするより、原因を一つずつ確かめて、無理なく着けられる状態を探してみてください。
- 執筆者
-
神野司(かみの つかさ)
妻のがん闘病を支える中で、大阪市の医療用ウィッグ助成制度を実際に利用。
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