医療用ウィッグを選ぼうとしたとき、多くの方が最初に迷うのが「通販で買うか、店舗に行くか」です。初めてだとサイズも似合う髪型も分からず、どこで買えば失敗しにくいのか不安になると思います。
この記事では、医療用ウィッグの購入方法の選び方(通販・店舗・自宅試着)と、試着やサイズ確認、返品・交換のチェックポイントに絞って解説します。素材(人毛・人工毛)や製法の違いは、記事の最後で紹介している別の記事にまとめています。
医療用ウィッグは通販と店舗どっち?

結論:通販と店舗のどちらかが一律に正解、ということはありません。自分の状況によって、選びやすい購入方法が変わります。目安は次の3パターンです。
- 初めて医療用ウィッグを選ぶ
- 「試着できる購入方法」を優先。通える範囲に店舗があれば店舗、難しければ自宅試着のある通販
- すでにサイズや商品が分かっている
- 通販が選びやすい。同じ商品の買い足しや予備なら、試着なしでも選びやすい
- 外出や来店が難しい
- 「自宅試着できる通販」が候補。家で実物をかぶってから購入を決められる
つまり、選択肢は「通販」と「店舗」の2つではなく、「通販」「店舗」「自宅試着」の3つです。どれを選ぶ場合も、大切なのは購入場所そのものより、買う前に「サイズ」「かぶり心地」「見た目」を確かめられるかどうかです。3つの特徴を比べると、次のようになります。
| 比較ポイント | 通販 | 店舗 | 自宅試着(通販) |
|---|---|---|---|
| 試着 | できない商品が多い | その場でできる | 自宅でできる(点数・期間に条件あり) |
| サイズ・かぶり方の相談 | 電話・メールなどが中心 | スタッフに直接相談できる | 電話・メールなどが中心 |
| 外出・来店の負担 | なし | あり | なし |
| 商品・価格の比較 | 複数の店で比べやすい | その店の商品が中心 | 試着対象の商品の中で比べる |
| 向いている人 | サイズや商品が決まっている人 | 初めての人・直接相談したい人 | 外出は難しいが試着したい人 |
医療用ウィッグを通販で買うメリット・デメリット
ウィッグの通販は、医療用ウィッグも含めて選択肢が多く、自宅から気軽に探せるのが魅力です。一方で、画面越しでは確認しにくい点もあります。メリットとデメリットの両方を知ったうえで、通販が自分に合っているかを考えてみましょう。
ウィッグを通販で買うメリット
通販の一番のメリットは、自宅で時間をかけて比較できることです。複数のショップの商品や価格を見比べ、商品説明を読みながら、店員さんの目を気にせず自分のペースで選べます。
また、店舗へ出かける必要がないため、治療中で体調に波がある方や、近くに医療用ウィッグを扱う店がない方でも購入できます。脱毛した状態で人に会うことに抵抗がある方にとっても、来店しなくてよいことは大きな利点です。
ウィッグを通販で買うデメリット
通販のデメリットは、商品によっては購入前に実物を確かめられない点です。特に、届いてから「思っていたものと違った」となりやすいのは、次のようなポイントです。
- サイズ・フィット感
- サイズ表の数値は合っていても、頭の形によってきつい・浮くなどのずれが出ることがある
- 色・質感
- 画面の明るさや撮影時の光で、写真と実物の色味・ツヤ感が違って見えることがある
- 似合うかどうか
- モデルの写真では似合って見えても、自分の顔の形や肌の色に合うかは、かぶってみないと分かりにくい
ただし、これらのデメリットの多くは「試着できない」ことから生まれます。後で紹介する自宅試着を使えば、通販でも実物を確かめてから選ぶことができます。
医療用ウィッグを店舗で買うメリット・デメリット
医療用ウィッグを扱う店舗には、サロン型の専門店や、病院内に設けられたサロンなど、さまざまな形があります。店舗の強みは、実物を見られることだけでなく、スタッフに相談しながら選べることです。なお、私たちは店舗を利用していないため、ここでは一般的な情報として整理します。
ウィッグを店舗で買うメリット
店舗では、試着してサイズやかぶり心地をその場で確かめられます。色や質感も自分の目で確認でき、鏡の前で顔まわりの印象を見比べられるので、「似合うかどうか」の判断がしやすくなります。
また、通販では確認しにくい細かな疑問を、その場でスタッフに聞けることも大きなメリットです。初めてでどれを選べばいいか分からない場合も、候補を絞るところから相談できます。
ウィッグを店舗で買うデメリット
店舗で選ぶ場合は、来店のための移動や時間が必要です。近くに医療用ウィッグを扱う店がない地域もあり、営業時間や予約の要否によっては、通院や仕事の合間に行きにくいこともあります。
抗がん剤治療中は、体調によって外出そのものが負担になる時期があります。予約制の店では、体調が急に悪くなったときの変更方法も事前に確認しておくと安心です。
店舗では試着以外に何を相談できる?
店舗によって対応は異なりますが、サイズ選びだけでなく、正しいかぶり方、アジャスターでの調整のしかた、自然に見える前髪や髪型への調整などを相談できる場合があります。自分では気づきにくい「生え際が不自然に見えないか」といった点も、客観的に見てもらえます。
購入後のサイズ直しやメンテナンスに対応している店もあります。たとえばレディススヴェンソンは、毛量の増減による頭囲の変化に合わせて、手縫いのサイズ調整に無料で対応すると案内しています(一部の製品は構造上対応できない場合があるとのことです。レディススヴェンソン公式サイト「医療用ウィッグのサイズの測り方」)。店舗で相談するときは、「買った後に困ったら、どこまで対応してもらえるか」も聞いておくと、比較の材料になります。
通販でも試着できる?自宅試着という選択肢
「通販は試着できないから不安」と感じている方に知っておいてほしいのが、自宅試着という方法です。医療用ウィッグの通販では、購入前に試着用のウィッグを自宅へ届けてくれるサービスを設けている店があり、「通販=試着できない」とは限りません。ここでは、自宅試着の仕組みと、申し込む前に確認したい条件、私たちが実際に使ったときのことを紹介します。
医療用ウィッグの通販にも自宅試着がある
自宅試着は、試着用のウィッグを自宅に送ってもらい、決められた期間内にかぶって確かめてから、購入するか返送するかを決める仕組みです。2026年9月時点の各公式サイトでは、たとえば次のように案内されています。
- プレスタ(レディススヴェンソン運営)
- 一度に最大2点まで、お試し期間はお届けから3日間
- AQUADOLL(アクアドール)
- 一度に2点まで、商品到着から2泊3日。自宅への送料・返送時の送料とも無料
- アンベリール
- 自宅で2点まで無料で試着できる。店舗での試着も案内している
条件は変わることがあるため、申し込む前に必ず各公式サイトで最新の内容を確認してください。
自宅試着で確認したい条件
自宅試着の条件は、店によって違います。上の例でも、お試し期間の数え方や送料の扱いに違いがあります。申し込む前に、試着できる点数と期間、返送料の負担、試着の対象外になる商品、支払い方法の指定、試着品を汚したり傷つけたりした場合の扱いを確認しておきましょう。
お試し期間は数日と短いことが多いため、届いた日のうちに一度かぶってみるなど、期間内に確かめられるよう準備しておくと安心です。体調のよいタイミングで試せるよう、受け取る日を選べるかも確認しておくとよいでしょう。
私たちが自宅試着を選んだ理由
ここからは、私たちの場合の話です。妻は抗がん剤が始まってから半年ほど、通院以外の外出がほとんどできない状態でした。そのため店舗は最初から検討せず、自宅で試着できることを決め手に、プレスタの自宅試着を利用しました。
神野司
ウィッグを準備した時期や、自宅試着を使ったときの経緯は、こちらの記事にまとめています。
抗がん剤治療で髪が抜け始める時期、ウィッグはいつ準備すればいいか
wigcarelife.com
初めてのウィッグは試着で何を確認する?

初めてウィッグを選ぶなら、店舗でも自宅試着でも、できれば一度試着してから決めると安心です。ウィッグの合う・合わないは、数値や写真だけでは判断しきれない部分が多いからです。ここでは、試着で何を確かめればよいのかを具体的に説明します。
サイズ表だけでは分からないこと
頭囲を測ってサイズ表の数値に合わせても、それだけで必ずフィットするとは限りません。頭の前後の長さや後頭部の丸み、かぶる位置によって、同じ頭囲でもきつく感じたり、浮いたりすることがあります。
また、治療中の方は、脱毛や発毛によって髪の量が変わると、同じウィッグでもフィット感が変わることがあります。サイズ表は「候補を絞るための目安」と考え、最終的には実際にかぶった感覚で確かめるのが確実です。
試着で締め付けを確認したい場所
試着では、見た目やサイズだけでなく、締め付けがないかも確認しましょう。確認したい場所は、こめかみ、耳の後ろ、えり足、頭頂部です。こめかみや耳の後ろにウィッグの縁が当たっていないか、えり足が浮いたりずり上がったりしないか、頭頂部が不自然に浮いていないかを、鏡で前と横から見て確かめます。
かぶった直後は気にならなくても、しばらく着けていると圧迫感が出てくることがあります。すぐに外さず、少し時間を置いてからもう一度かぶり心地を確かめてください。普段メガネをかける方は、メガネをかけた状態でも試しておくと、つるとウィッグの縁が重なって痛くならないかを確かめられます。
ウィッグ試着のチェックポイント
試着のときに確認したいポイントを、チェックリストにまとめました。店舗でも自宅試着でも、同じ順番で確かめると判断しやすくなります。
- きつくないか
- 頭全体を輪で締められるような圧迫感がないか。アジャスターがある場合は、緩めた状態でも確かめる
- ずれないか
- うつむく、横を向く、軽く頭を振るといった動きをしても、位置がずれないか
- 浮かないか
- 頭頂部やこめかみ、えり足に不自然なすき間ができていないか
- 耳やこめかみに当たらないか
- ウィッグの縁が耳に乗っていないか、こめかみの一点だけが痛くないか
- 長時間着けても違和感がないか
- 外出で着ける時間を想定し、しばらく着けたあとも頭が重い・かゆいなどの違和感が出ないか
ずれるのが心配だからといって、きつめのサイズを選ぶと、今度は締め付けの原因になります。店舗なら「ずれない」と「きつくない」の両方を満たすサイズと調整位置を、スタッフと相談しながら探せます。
ウィッグを通販で買うときのサイズの選び方

試着せずに通販で買う場合でも、購入前に自分でできるサイズ確認があります。ここでは、ウィッグを通販で買うときに、サイズで失敗しにくくするための3つの確認方法を紹介します。
購入前に頭囲を測る
S・M・Lを感覚で選ばず、まずメジャーで頭囲を測りましょう。たとえば医療用ウィッグ専門店のワンステップでは、前髪の生え際→耳の上→盆の窪(えり足の中央のくぼみ)を通るように、はちまきを巻く要領で一周させ、メジャーがたるまないように測る方法を案内しています。
一人で測りにくい場合は、家族に手伝ってもらうと正確に測れます。測った数値はメモしておくと、商品を比べるときにも役立ちます。
商品のサイズ表と照らし合わせる
ウィッグのサイズ設定は、メーカーや商品によって異なります。たとえばワンステップのサイズ表では、Mサイズを頭周り55〜57cmとしていますが(ワンステップ公式サイト「サイズの測り方」)、これは一つの店の基準で、別の店では区切りが違うこともあります。
「一般的にはMだから」と判断せず、購入予定の商品ページにあるサイズ表と、自分の頭囲を照らし合わせてください。測り方の指定が店ごとに違う場合もあるため、その店の測り方で測った数値を使うのが確実です。
アジャスターの有無を確認する
アジャスターは、ウィッグの内側・後頭部の下あたりに付いているサイズ調整用のパーツです。通販では試着できないことも多いため、購入後にフィット感を調整できるアジャスターが付いているかを確認しておくと安心です。
アジャスターの形や調整できる段階は商品によって異なり、付いていない商品もあります。商品説明に記載がなければ、購入前にショップへ問い合わせておきましょう。
通販でウィッグを買う前に返品・交換を確認する
通販でウィッグを買うなら、「サイズが合わなかったときにどうなるか」を購入前に確認しておくことが大切です。ここでは、消費者庁の特定商取引法ガイドに沿って通信販売の返品の基本を整理し、医療用ウィッグで特に確認したい点を紹介します。
通信販売にはクーリング・オフ制度がない
訪問販売や電話勧誘販売とは違い、通信販売にはクーリング・オフ(無条件解約)の制度はありません。通販で買ったウィッグを返品できるかどうかは、販売店が広告(商品ページや特定商取引法に基づく表記など)に表示している「返品特約」によって決まります。
返品特約の内容は、表示がある場合とない場合で扱いが分かれます。
- 返品特約の表示がある場合
- 表示された条件に従う。「返品不可」などと記載されていれば、原則として契約を解除できない
- 返品特約の表示がない場合
- 商品を受け取った日から8日間は、契約の申込みの撤回や解除ができる。ただし、返送にかかる費用は消費者の負担
参考:消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売で商品を購入したが組み立てられないので返品したい。」
医療用ウィッグで確認したい返品・交換のポイント
ウィッグは肌に直接触れる商品のため、試着後や使用後の返品・交換に条件を設けている店もあります。購入前に、次の点を商品ページや特定商取引法に基づく表記、ご利用ガイドで確認しておきましょう。
- 試着後・使用後でも対象になるか
- 一度かぶった後でも返品・交換できるのか、未使用品だけが対象なのか
- サイズ交換ができるか
- 返品ではなく、別のサイズへの交換に対応しているか
- 期限と送料
- 受け取りから何日以内か、返送料や交換時の送料はどちらが負担するか
もし購入したウィッグが「きつい」「小さい」と感じた場合の対処法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
ウィッグがきつい・小さいときの対処法|原因とサイズ調整の方法
wigcarelife.com
通販・店舗・自宅試着はどう使い分ける?

ウィッグ選びは、「通販か店舗か」の二択で考える必要はありません。「情報収集」「試着」「購入」を別々に考えると、それぞれの良いところを組み合わせられます。ここでは、状況に合わせた3つの使い分け方を紹介します。
店舗で試着して通販で買い足す
初めての1つ目は店舗で試着して、自分に合うサイズや色、スタイルを確かめてから購入し、2つ目以降の予備や買い替えは通販で済ませる方法です。一度サイズや商品が分かれば、通販でも選びやすくなります。
ただし、同じブランドでも商品によってサイズ設定が違うことがあります。また、試着した店と購入先が違うと、購入後のサイズ直しやアフターサービスを受けられない場合があります。購入後の相談も重視するなら、どこで買うかを決める前に確認しておきましょう。
通販で候補を絞ってから店舗で試着する
先に通販サイトで商品や価格、スタイルを調べて候補を絞り、そのうえで店舗へ試着に行く方法です。何も決めずに来店するより、「この長さ」「この色味」と希望を伝えやすくなり、短い時間で効率よく選べます。
体調に波がある時期は、来店時間をなるべく短くしたいものです。事前に候補を絞っておくことは、来店の負担を減らすことにもつながります。
外出が難しいなら自宅試着を使う
店舗へ行くことが難しい場合は、「通販で探す→自宅で試着→サイズやかぶり心地を確認→購入」という流れにすれば、来店しなくても試着のメリットを取り入れられます。外出が難しい時期でも、実物を確かめてから決められるのが自宅試着の強みです。
自宅なら体調のよいタイミングで、家族の意見も聞きながら落ち着いて確かめられます。自宅試着の対象になっている商品は限られることがあるため、欲しい商品が試着できるかも先に確認しておきましょう。
まとめ|初めてなら試着、2つ目以降は通販も選択肢
医療用ウィッグは、「通販か店舗か」という場所で選ぶより、自分が何を確認したいかで購入方法を選ぶのが失敗を減らす考え方です。初めてなら店舗か自宅試着で実物を確かめ、サイズや商品が分かった2つ目以降は通販も選択肢になります。購入先を比べるときは、次の5つの項目を確認してみてください。
- 試着できるか(店舗・自宅試着を含めて)
- サイズを確認できるか(サイズ表・アジャスターの有無)
- 相談できるか(来店・電話・メールなど)
- 返品・交換できるか(試着後・使用後の条件)
- 購入後の調整ができるか(サイズ直し・メンテナンス)
素材(人毛・人工毛)や製法など、購入方法以外の選び方のポイントは、こちらの記事にまとめています。
ウィッグを選ぶときに確認したいポイント|素材・製法・購入方法
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- 執筆者
-
神野司(かみの つかさ)
妻のがん闘病を支える中で、大阪市の医療用ウィッグ助成制度を実際に利用。
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